第10回 為替マーケットコラム 2019年11月 海外情勢とマーケット

為替マーケットコラム 2019年11月 海外情勢とマーケット

海外情勢とマーケット

マーケットを動かす要因となる海外情勢で目が離せないのは、米中協議とBREXITの二つで、これが昨今の世界の関心事でした。

すでにもう過去2年間もこの事に振り回されてきたのですが、11月になって一応の目安を得たようです。

英議会はようやく解散の運びとなって、12月の総選挙と通じてEU提案の離脱案を合意に持っていく流れとなりました。

また米中協議のほうは知的財産権や補助金などの解決困難な問題は先送りにして、食料品の購入と一部の完全撤廃で部分的な合意で済ますことになりそうです。

これらの問題が和らいできた一方で、別の国際問題が噴出したのが11月でした。

 

韓国と香港

まずは、韓国情勢です。期限を迎えたGSOMIA破棄は、実質的にも延期されることとなりました。

アメリカの圧力のためであったとされていますが、実に良識的な結果に終わったわけです。

結果発表のやり方についても、実に官僚作文の公表でしかなく、地政学的リスクの高まりを考慮せざるをえないと考えられていただけに、マーケットにおいては拍子抜けと虚脱感が漂うイベントとなりました。

 

それまでの韓国側の姿勢は強行でしたし、やたらと韓国内の破棄支持が51%だということが喧伝されていましたから、これを覆すのはほぼ不可能かとも思われてもいました。

不思議だったのは韓国サイドのアンケー調査ばかり出ていて、日本側はどうなのかです。

日本の声も紹介するのがマスコミの役割であるはずですが、その数字についてはほとんど出てきませんでした。

ネットで調べてみる限りは、圧倒的に「粛々と破棄してください」というのが多かったです。95%くらいが「もう飽き飽き」という書き込みだったように見えますが、これは意見をわざわざ表明したい人の意見ですから「声なき声」の分も加算しないといけないでしょう。

それでも話し半分としても、日本人も過半数が暗に破棄を希望していたことになります。

韓国も日本も多くの人が支持した結果にならなかったことのほうが重大で、統治機構としては民主的な意見よりも、誰かはわからないが「良識のある、賢明な人」の裁量に従ったことになります。

 

そして、香港情勢です。唯一直接に人民が投票できる選挙として注目されていた香港の選挙が終わりました。

関心の高さもあって、その参加率はとても高かったです。テーマが民主主義の根幹に関わることなので、当然と言えば当然です。

結果としては民衆派が圧倒的に勝利したわけですが、今回の選挙だけでは明確に香港の政治を変えるまでには至りません。

そこで次に気になるのはデモが活発化するのか、沈静化するのかです。中国は人民軍の兵士をいつでも出動できるような態勢にしているようでもありますし、先行きは不透明です。

 

米議会では香港の人権法案を、上下両院で可決しました。

後はトランプ大統領がサインすれば法律になるのですが、当初は習主席に気遣いを見せるような発言をしていたトランプ大統領でしたが、これに署名しました。

これは意外でもありました。米中協議の第1段階の部分的合意を先に持ってくると思われていたからです。

しかし拒否権を使っても、時間稼ぎしかできないのであれば格好は悪いのも事実です。アメリカが大事にしている人権に無頓着な大統領という悪い評判がたってしまうためです。

そのためか、感謝祭の休みを利用してトランプ大統領は署名に踏み切りました。中国は報復措置を取ると言っていますから、年末にかけての市場のリスク動向をウオッチしていく必要があります。

 

クリスマス商戦

感謝祭からクリスマスまでの期間をクリスマス商戦といいます。

アメリカの家計消費の金額ベースでその3分の1が消費されるという時期ですから、小売り関連ではこの時期に大きなセールスをかけます。

そしてここ10年間は確かに売上ベースでも毎年4~5%ずつは増えています。

 

しかし問題は売上の予想値です。毎年シーズン前に出される売上予想はいずれも「去年よりは良いものだ」というものしか出てきません。

その結果として年が明けた1月の中旬には、必ず「予想に達しなかった」という結果に終わっています。これは今世紀に入って20年間変わらずに続いている現象です。

株高を煽るためにも予想すべきシンクタンクなども斟酌ばかりしているのかもしれません。

外れても文句は言われないのですから、景気のよいほうを取っているだけに見えます。

これは企業の利益予想とまったく同じ構図です。

 

いろいろな意味で、年末に向かっての市場リスクの増大が気にかかるところです。米国株は史上最高値を更新し続けていますが、毎日の変動幅は小さいものになってきています。

また値幅が小さいのはドル円などリスクに敏感な通貨ペアでも同じであって、夏場の104円台から一方的に上がってきてはいますが、あまりにも1日あたりの値上がり分が小さいものとなっています。

したがって流れに対して逆張りにはなりますが、上がる方にポジションを張るよりも、下がる方で持った方が効率が良いといえそうです。

S&P先物の日足

 

ドル円の日足

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河野 裕

河野 裕

株式会社フォーカスワン 代表取締役

昭和49年5月3日生まれ。44歳。東京出身。

約10年前に外為オンラインで取引を始めたが、初心者にありがちな小さく稼いで、大きく負けるで一発退場。

その後、復活して取引を再開。2018年のトルコリラ暴落を経験しながら、早目の損切りで逃れ現在に至る。

FXのリスクと楽しさを感じながらも日々格闘中。

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