第2回 為替マーケットコラム 2019年3月

第2回 為替マーケットコラム

金融相場について

なぜマーケットで金利動向が話題になるのでしょうか。それは金利の上げ下げがいろいろなリスクファクターに影響を与えるからです。

金利の上昇についてみていくと、それは株価にとってはマイナスとなります。

どうしてかなのかといえば、金利の上昇は企業コストの増大につながるからですし、それは収益の減少を意味するからです。為替相場についてはどうでしょうか。

ドル金利上昇の場合は、ドル保有の魅力が高まることになり、それだけドル高要因となります。
ドル金利とドル円

そうした金利情勢に大きな影響力を持っているのは、金融当局と呼ばれるものです。日銀やFRB(連邦準備制度…アメリカの中央銀行)、ECB(欧州中央銀行)といったところです。

金融当局は短期金利を操作する権限を持っています。そしてマーケットの様々な金利商品は、金融当局の決める金利に連動するようにできています。

ECBの金利会合

2019年3月はECBの金利会合でマーケットが動きました。今年に入ってもユーロドルが1.12台から1.14台の間でほとんど動きが乏しかった推移をしていたのですが、それが下落に向かって昨年来の安値をもブレークしてきたのです。

ユーロが下がるということは、ユーロのイージングが図られたということです。

ECB会合をはさんでのユーロドル(時間足)

声明文を見てみると、それまでは「夏場まで利上げをしない」といっていたのものが、「年末までは利上げしない」と変更されていました。

つまり事実上、今年のユーロ利上げがなくなったわけです。目先のユーロ金利の先高感はまったくなくなりました。

そして新規の資金供給が打ち出されました。TLTRO(テルトロ)3といいます。

過去にも何度か出されたこともある金融政策の一つです。

ドル金利の動向

ドル金利を見ていく上でのベンチマークは短期金利の先物なのですが、これはLIBORベースなので民間の金利を反映しています。LIBORというのは銀行間の調達金利です。

しかし金利の上げ下げといった値幅だけを問題にするのであれば、取引量や流動性を考えると、これを見るのがいちばんよいです。ちなみに中心限月は9ヶ月先のものとなっています。

ドル金利先物日足

このドル金利先物が、昨年の10月の株価急落の局面からすでに100ベーシス以上も上がってきています。

金利に引き直すと1%ポイントの金利低下です。昨年の夏場までは年3回の利上げを織り込んでいたのですから、それに比べると利上げがなくなったというだけに留まらず、利下げを一回分だけ織り込んできているということです。

9ヶ月先の短期金利だというのですから、年内にも25ベーシスの利下げがあってもおかしくはないということになります。

ドルに利下げが本格化して来るようになると、ドル相場の値崩れは避けられません。

ドル円も今年の初旬につけた103円台の安値などと言うのも、ほんの通過点に過ぎなくなる可能性も高まってきます。

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持田 有紀子

持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

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