第20回 為替マーケットコラム 2023年まで低金利を維持

為替マーケットコラム 2023年まで低金利を維持

9月FOMC

9月のFOMCでは政策金利に変更はなくて、今後の見通しに関しても先日、パウエル議長がジャクソンホールで講演した内容に沿ったものでした。

にわかにインフレ指標がプラス2.0%を越えてもそれを許容するとし、資産買い入れのペースも従来通りとしました。

 

強いて目新しいことといえば、2023年まで現在の低金利を維持するような意思を表明したことです。

これは2022年までとしていた従来の見解よりも、さらに緩和的な姿勢です。


ドル円は久しぶりに104円台に突入していましたが、深押しはしていませんでした。

FOMCの声明文が出れば少しは動くかと思われたが、20ポイントほどの動きにとどまりました。

 

パウエル議長の会見はリモートで行われたのですが、これも内容としてはフレッシュ感はなしでした。

政府サイドに財政支出の必要性を強調する形になっただけで、米国株は最終的に後退しています。

パウエル議長の会見

 

当局の見える手

9月マーケットではリスク調整が進んでいます。これはドル円や日本株だけを見ていては気づきにくいです。

米国株の代表であるS&P先物で見ると9月初旬につけた史上最高値が3587ポイントです。そこから最大で3210ポイントまでの下落を演じています。

 

10%強の調整幅です。リスクに敏感とされるクロス円では、ポンド円で141.71から133.05までなので、6.1%の調整となります。

 

それに比べると日経先物は23635円の高値から連休中の22460円までであって、5%ほどにとどまっていました。

それがしかも23000円台まで戻してきているとあっては、日本株だけが突出して割高な状態に放置されていると言えなくもありません。

 

こうした割高感の根源はドル円の下がらなさに起因しているように思われます。

ドル円が下がってきて104円台辺りまで来ると、いつも日銀と政府、財務省の3者会談などが開かれたりして、官製相場の度合いを強めてきます。

 

もちろんこんなレベルで為替介入などはありえないのですが、それでも当局の意思ということで円高方向への攻め手が緩んでしまうのです。

まだマーケットには当局による誘導、いわゆる「見える手」政策が有効であると信奉しているプレーヤーが多いようです。

9月のS&P先物

 

安いトルコリラ

月末にトルコ中銀が200ベーシスポイントの利上げを行いました。

これは世界的な金融緩和の流れの中でも反対を行く決定でした。そもそも昨年からトルコ・リラ安が進んでおり、対ドルではとくに顕著でした。

すでに30%以上も通貨安が進んでいる状況だったのです。

 

もっと早期に通貨防衛としょうして利上げをしてもよかったはずなのに、それでは国内景気が冷え込むということでエルドアン政権が断固として拒否してきたことでした。

それがコロナ感染の世界的な拡大に支えられて、トルコも利下げを開始することとなったのです。

 

地中海で欧州との紛糾が目立ってきて、欧州から経済制裁を受けるかもしれない自体に立ち至っています。

通貨安に歯止めがかからないのを放っておけなくなって、今回の大幅利上げに踏み切ったものでしょう。

 

しかし市場の観測ではトルコリラの持ち直しは一時的なものに過ぎないという見方が強いです。

でも今回、利上げしなかったら強烈なトルコ安になっていただろうことを考えると、利上げはいちおうの成功を収めているとも言えます。

利上げ直後のトルコリラ

 

10月相場に向けて

大統領選挙が近づいてきて、市場はますますナーバスな動きを示すことになるでしょう。マーケットは調整の度合いを強めています。後はその深さがどの程度のものなのかを考える必要があります。

 

それにはユーロ円の120円ちょうどが次の目安を与えそうです。

コロナ感染以来の下から上がってくる相場展開においても120円ちょうどは相当に上回るのに抵抗していました。

 

それが上抜けしての現在の相場ですから、今度はダウンサイドのサポートとなるだろうことが予想されます。

いま足下で見られるようにユーロ主導でユーロ円が落ちている分には、日本の当局と言っても打つ手がありません。そうなると市場の調整はもっと急速に進むものと思われます。

ユーロ円の日足

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
持田 有紀子

持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

-マーケット コラム

© 2021 【FXの歩き方】 初心者が失敗や大損をしない為のFXの基礎