第22回 為替マーケットコラム バイデン氏の当選

為替マーケットコラム バイデン氏の当選

バイデン氏の当選

大統領選が終わって1週間近くも過ぎてから、ようやくバイデン氏が勝利宣言をしました。

それにともない市場の不安定要因のひとつが消えたとされて、金融マーケットでは大いにリスクテークが進みました。

 

グローベックスでの米国株は急上昇。ダウ先物は3万まで到達し、史上最高値を記録。世界的にもリスク許容度の増大が見られ、日本株も追随しています。

日経先物は29年半ぶりの高値圏まで値を戻してきています。

日経先物の日足

 

それでもトランプ大統領はなかなか政権移行に入ろうとしません。

そのトランプ大統領が怒るのも無理はない面もあります。

開票当日の集計では、集計が終わっていない残りの州ではトランプ氏が優勢だったところが多かったのに、それが残り数%の開票で逆転するというのはありえないように思えたからです。

 

 

統計的なサンプリング調査では全体を調べることは不可能なので、集団の1割とかだけ調査します。

残りの調べていない部分も同質であるはずだという見込みのもと、全体も同じような比率だろうと推定するのです。

 

開票が進んで優劣逆転というのは、なかなか飲み込めない事実でしょう。しかも複数の州にのぼっています。

トランプ氏としては何か不正な操作が行われたのではないかと疑いたくなるのも無理はないでしょう。

バイデン氏の勝利宣言

 

ワクチンの有効性

11月9日のニューヨークオープン前には、ファイザー社がワクチン開発に成功したという報道が流れ、それがさらなるリスクテークの勢いを強めました。

米国株が上げ幅を激しく拡大し、史上最高値を大きく上回ってきました。そして日経先物も25900円まで急伸。同じ比の東京クローズから1000円の急騰です。

 

翌週にはモデルナ社もワクチン開発の発表をしました。

有効性は94.5%だということでした。でもこの有効性とはどういう意味合いでしょうか。

 

治験するのに当薬品を投与したグループとニセモノの液体だけを投与したグループに分け、それで感染具合を調べるのです。

実際に感染した者のうち、ワクチンを投与したものと投与していないものとの比率を指すようです。

 

毎年はやるインフルエンザの有効性は60%くらいだといいます。

ということはほぼ50%です。これでは感染しなかったとしても、それがワクチンの影響かどうかは疑わしいです。それに比べると90%超というのは、かなり有効だということにもなります。

有効性90%

 

安全性と持続性

しかしワクチンの有効性が90%以上だということは良いことではありますが、それだけで採用されるということではありません。

有効性に加えて、安全性と持続性が大事なのです。

 

安全性は言うまでもありません。副作用などが見られると、何のためにワクチンを使ったのか、わからなくなるからです。

しかしその線引きはかなり曖昧であり、見方によっては政治的な余地を残すものです。

 

1万人に投与して1人でも重篤者を出してはいけないという安全基準もありますし、100人くらいで軽度の副作用が発症しても致し方なしとすることもあります。

今のアメリカでは死亡者数がかなりの数にのぼっていることもあり、安全基準はそう高くないものを求められるのは間違いありません。

 

また持続性も肝心で、インフルエンザワクチンなどは概ね半年だけです。このため毎年、新しく注射しなくてはなりません。持続期間が1ヶ月とかだと、まったくの役には立たないものとなります。

 

為替相場への影響

この1ヶ月で大いにリスクテークが進んで世界中で株高が強烈に起こったのですが、同時に為替相場ではドル安傾向が目立ってきました。

株高なのだからもうちょっとドル買いの意欲もわいてよさそうなものなのですが、何分にもFRBが2023年の待つまでは低金利状態を変えないと明言しています。

 

これに加えて景気刺激策による財政赤字の増大が、ドルの価値を押さえ込んでいるのです。

こうした金利情勢と財政事情に大きな変化が見られない限りは、当面はペースが遅くともドル安の流れは変わらないものと思われます。

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持田 有紀子

持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

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