株価の正当性
米国株は史上最高値を更新してくる日々が続いています。
11月に入ってからの相場の上げ加速の要因は、大統領選が終わったこととワクチン開発の進展です。
なかでもテスラ株は年初から6倍にもなっています。
時価総額が6倍にもなるのですから、企業形態そのものに劇的な変化があったとしても間違いはないはずです。
それだけ電気自動車というものが近い将来の自動車産業をリードすることになると言うことでしょうか。
それならばトヨタやGMなどが6分の1になってもおかしくはないはずなのに、テスラ株と一緒になって上がってしまっています。
近未来の各家庭ではガソリン車と電気自動車の2台を持つことを想定しているのでしょうか。
追加景気対策
12月は米議会での追加対策の合意が得られるのではないかということで、市場はリスクテークの流れが強まりました。
大統領選の前まで共和党と民主党の主張していたことをぶつけるのではなく、目先に必要な中小企業対策と失業対策にたいしてだけ先行しようとするものです。
部分的なものなので規模も小さくなります。2兆ドルで粘っていたはずなのに、いつの間にかサイズが半分以下になってしまっています。
失業保険の余分にもらえるのは12月で切れるので、それに対する措置が出るのは社会的にも安心感を与えることになります。
失業保険は州が出すものですが、日本円でいえば平均で15万円ほどの支給です。それがコロナ禍ということで国が30万円ほどを余分に補助して出しています。
月に50万円ももらえるのであれば、誰も働けなくても文句は言わないでしょう。
感染がおさまらず、ずっとベーシックインカムのようにもらい続ける世の中を期待しているようにも見えます。
本来のアメリカらしくはないことですが、株高になっていることがそれを好感しているとも言えるかもしれません。
いいとこ取りのリスクオン
12月相場では、ここ最近の続いている、いいとこ取りの流れが強まりました。
追加景気対策の合意が部分的にも週内にまとまるのではないかということ、ファイザーに加えてモデルナのワクチンも早期の承認の運びになったということです。
そしてFOMCが緩和姿勢を強調したまま終わったので、それがどうしようかと迷い気味であったプレーヤーのリスクテークの背中を押すことにつながりました。
米国株の主要3指数は並んで史上最高値を更新してきて、リスクに敏感とされるクロス円も、総じて高いです。
クロス円の高値張り付きとともに顕著になってきているのが、ドル相場の下落です。
ドル円はそれほども下がっていないのですが、ユーロドルはついに1.23台まで突き進んでしまいましたし、ポンドドルもBREXIT問題を抱えているにもかかわらず1.36台まで急伸しています。
仮想通貨のビットコインもたいへんな上昇を演じています。
31年ぶり高値へ
日経平均株価が急伸して27000円台の後半まで上がってきたのは、1990年の8月以来の水準だそうです。
しかしよく考えてみると、その7ヶ月前、すなわち1989年の12月の最終日に、日本株は史上最高値をつけたことが知られています。
つまりこの7ヶ月で12000円も落ちたことになるのです。それだけ39000円台というのは、無理な値段であったことがうかがわれます。
当時の外部環境は今とよく似ています。原油安、円高、金利安です。レベルこそ違いますが、当時はこれをトリプルメリットといってもてはやされたものです。
株買いの根拠にもなっていました。今となっては原油安や円高はリスクオフ要因とされ、まるっきり反対の相関性を示しているのですが。