緊急事態宣言
日本政府が緊急事態宣言を出しました。しかし今回の宣言は、前回よりもかなり緩い規制となりそうなものでした。
スポーツジムやゲーセン、カラオケなども営業をストップするところまでは求められていません。その分だけ飲食業にしわ寄せが言っているようにも見える状況です。
しかし緊急事態宣言とか戒厳令というのは、政治権力を持った側が最後に放つべき伝家の宝刀であるのに、こんなにも容易に打ち出してよいものでしょうか。
もしも1ヶ月の緊急事態の期間を終えて、何も社会の感染状況に変化が現われなかったら、あの緊急事態宣言は何だったのだろうかということになってしまいます。
それはちょうど東京都の「東京アラート」と同じです。「あれは何だったのか」ということになると、今後に再び発出することがあっても、その神通力は限られるものとならざるをえません。
そのためか、マーケットへの影響は実に限られたものとなっています。
ビットコインと規制
イギリスの金融監督局が仮想通貨の値動きに注意を発しました。「価値がゼロになるかもしれない」という過激にも見える内容でした。
これは投資をしても保護はしないぞという意思表明であるようにも受け取られました。
確かに過熱感のあったビットコインなどの値上がりには、水を浴びせるには十分な内容でした。
ビットコインは41000ドル台まで上がっていたものが、30000ドル割れ寸前のところまで急落し、30%の大幅安を演じました。
市場全体のムードもこれに引きずられた感じがあって、年初からのリスクテークの勢いは急激にそぎ落とされてきています。
ツイッターの凍結
トランプ大統領のツイッターが永久凍結になりました。
これは発信する内容が暴力を肯定する者だったからだというのが理由のようだが、こうした措置には懸念の声もあります。
メルケル首相も同様の見解を述べています。
発信する内容が良いか悪いかは受け取る側の処理の問題であって、媒介する側が勝手にセレクトしてはいけないということです。
これは事実上の検閲行為にあたります。
とくにアメリカのSNS業界は発信力がものすごく大きくて、普通の紙媒体よりもはるかに影響力は巨大です。
メディアは第4の権力だなどと言われますが、ツイッターもフェイスブックも新聞やテレビをしのぐメディアツールです。
それが拒否権を持ったら、次に来るのは堅苦しい暗い未来だという意見も多いです。
財政支出
市場に楽観ムードが拡がっているのは、バイデン次期大統領による追加景気対策の中身を見てみたいという思惑からです。
そして実際に出てきた景気対策は1.9兆ドル規模のもので、これは予想されていた2兆ドル規模よりはやや下回ります。
1400ドルずつを国民全員に現金給付することとし、9月まで失業保険の給付を延長します。
米国株が史上最高値圏で張り付いたまま値動きが乏しいのもそのためです。
また上昇傾向が目立ってきた米長期金利も、やや動きの勢いに欠けるところがあります。
大型の財政支出も、さっそくその実現への道程が危ぶまれてきています。
バイデン大統領は民主党だけでの単独の法案成立よりも、多くの共和党からの賛同者を得る方向での成立を求めているからです。
これは国内の分断を嫌った副作用でもあります。
今後の経済政策
財政支出の増大とセットになっているのが増税です。
イエレン財務長官は今は増税どころではないと言っていますが、それはあくまで当面のことです。
パウエル議長も利上げは2023年の末までやらないと言っていますが、それではバイデン大統領の任期の終わりまで何もやらないのかということになり、そこまでに増税もせずに済ますわけにはいかないでしょう。
そもそもバイデン政権はトランプ氏が減税した法人税の引き上げには前のめりになっていますし、キャピタルゲイン課税にも前向きです。またオフショアでの課税逃れも許さないでしょう。