第25回 為替マーケットコラム 投機的な動き

持田 有紀子のマーケットコラム

投機的な動き

米国株が変動について不安定性を高めている要因の一つとして、ネット証券の存在が語られています。

それらが発生源となって一部の株をあおって暴走させているという筋書きです。

 

しかし相場の悪者探しはいつの時代でも行われるもので、たとえ取引ツールが電話からスマホに変わったといっても、トレードには何ら新規なことは起こっていないと考えるのが常道でしょう。

日本の昔の相場で言えば、仕手筋みたいなところでしょうか。

 

そしてロビンフッドが昨今、騒がれているいくつかの銘柄の取引を停止しました。

しかし民間の業者が特定の銘柄を停止にできるというのはどうでしょう。これはツイッター社がトランプ氏のアカウントを永久凍結したのと同じくらいに危険性をはらんでいます。

 

そこに恣意的な思惑が入る余地があれば、自由な市場の妨げになる可能性もあります。激しい値動きがダメなのであれば、テスラ株はどうなのでしょう。またビットコインなどは許されるのでしょうか。

 

アメリカのネット証券での投機的な動きが問題になっていますが、当局がどれが投機的であるとかを指定するのは僭越でしょう。

お金には色が付いていないのですから、これは投機であり、これは実需に絡んだものなどと判定はできないものです。それはシンプルに投資しやすいという米国市場の魅力を著しく下げてしまいます。

ゲームストップの株価

 

インフレの芽

値段の値上がりが金融商品に限られるうちは、まだ金融緩和で金余りのせいだと言っておけば問題は少なかったでしょう。

しかし生活必需品であるフード&エナジーにも、その流れが及んできています。トウモロコシや小麦などがとくにひどいです。

トウモロコシは半年前には300ドル台の前半だったものが、いまや600ドル台に到達しようとしています。

トウモロコシの価格

 

食料品などが高騰すると、それは実生活を直撃します。

人間が直接食べる分に限らず、多くの家畜の飼料にもなっているわけですから、末端価格が大幅に値上がりするのも時間の問題でしょう。

 

物品の値上がりが生活必需品にまで及んでくるとなると、暴動が起きたり、輸出規制されたりして政治問題化するのは必定です。

小型株で投機熱がおさまったからそれで済んだと言うわけにはいきません。

 

明らかにインフレの兆候が明らかになってきた時点で、金融当局はタイトニングに踏み切らなければいけないものとされています。

 

ビッドコイン

リスクに敏感なものとして、原油相場やビットコインがあります。

テスラが分散投資の一角としてビットコインに投資すると発表したので、ビットコインが急騰しました。

 

ついに5万ドル台を大きく越えてきました。一部の投資家の動向によって大幅上昇したりするのですから、ビットコインはまだまだ流動性が足りないものと思われます。

しかしゲームストップ株のように投機熱がどうのこうのと騒いだり社会問題になったりしないのが不思議です。

ビットコインの3カ月の動き

 

長期金利

インフレをいちばん敏感に映ずるのは長期金利だとされています。

一方でFRBなどの金融当局がコントロールできるのは短期金利です。

 

そのFRBが2023年末まで金利を上げないと言っています。

これは市場に安心感を与えるためのものですが、あまりにも先の先まで政策決定の方針を縛ってしまっては、自由度を失うことにつながります。

 

これは財政などでも同じことで、3年先まで使途を決めてしまうと、何か別のことが起きたら身軽に対応できなくなってしまいます。

また将来の担当者の手足を縛ってしまうことにもなるのです。

 

2月に入ってからの米ドルの長期金利の上昇は、政策の催促だとも捉えられます。

金利上昇にともなって高値圏にある株価が大きく値崩れしてこようものならば、インフレの芽は見えないなどと悠長なことは言っていられなくなるでしょう。

 

石油需要と脱炭素

原油相場が62ドル台まで上昇してきました。歩みが遅いので、価格が急騰したという印象が少ないのですが、これで去年のコロナ感染拡大の直前の水準まで戻してきたことになります。

確かに去年の4月にマイナス価格まで沈んだのは極端ではありました。しかしそこからの戻しなのですから、景気回復による石油の需要増大が見込まれているのでしょう。

 

しかしアメリカがパリ協定に復帰して今後の30年間で脱炭素を世界同時に目指すことになるというのに、炭素排出の元凶とされている石油の需要が増してくるというのは皮肉なものです。

それだけマーケットは脱炭素社会に向かう姿勢を本気だと捉えていないということかもしれません。

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持田 有紀子

持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

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