第27回 為替マーケットコラム  財政支出と財源の手当て

マーケットコラム 財政支出と財源の手当て

財政支出と財源の手当て

バイデン政権の予算措置が発表されました。予想された通りで、インフラ投資、研究開発、グリーン関係です。

あくまでも対中競争を意識したものらしいですが、8年をかけての支出であるといいます。

先日に成立したコロナ対策の1.9兆ドルがワンショットであったことを考えると、なんか間延びする感じがしないでもありません。

 

また注目を集めていた財源についても説明がなされました。

これも予想にたがわず、法人税を21%から28%まで引き上げるというのですが、単に元に戻すだけです。

そして企業が海外で上げた利益にも課税をするというものでした。恐れていた高額所得者への増税やキャピタルゲイン課税の増加はありませんでした。

 

一見マイルドに見えますが、財源回収は15年をかけてまかなうとしています。

自分の政権が続いていないのは明らかなのに、本気でやるつもりなのかどうかの疑念も生じてきても不思議ではありません。

 

その財源手当ての方法も見通しが不透明になりつつあります。原因はロイターの観測記事でした。

バイデン政権が法人税を現行の21%から28%に引き上げるとしていたのですが、これを党内の反対派や国内企業を押さえ込むために25%で妥協するだろうというのです。

これを好感した形となっています。

 

しかしトランプ時代に35%から21%まで減税したのを28%まで戻すと言うのでも、ちょっと足りない感じがしていたところです。

なにしろ今回の大型支出分の回収には15年もかかるとしています。

それを足して2で割ったような25%でおさめるとなると、回収までに30年以上もかかるのはないかという不安も出てこようというものですが、何もやらないのと同じだという見方すらあります。

財政支出と財源

 

日米首脳会談

日米首脳会談が終わりましたが、概ね想定通りの内容でした。注目点は2カ所でした。

一つは台湾海峡の文言を入れるかどうかです。この問題は、明らかに中国を刺激するからです。

 

日本は国交回復の際に外交文書の上では中国を唯一の代表政府だと明記しているのに対し、アメリカはそのようなコミットを示していません。

そうした立場の違いからも台湾問題でどのような対処法になるのか関心が集まったのですが、やはり明確に台湾海峡の現状を力で変更することは許されないことになりました。

 

もう一つはゼロ・カーボン問題です。

日本もアメリカも2050年までにカーボン・ニュートラルを確約はしていますが、それまでの30年の間にどこまでやるのかです。

30年も先の約束だと、もうそれは次の世代の話しとなります。

 

現在の政権担当者はほぼいなくなっているでしょう。そこで10年後の2030年までには予定の半分まで目標を達成するという中間目標を出すかどうかです。

そこまでやってはじめて2050年にはカーボン・ニュートラルが達成されようというものです。

10年先ならば現状のスタッフで見通しが立ちます。しかし共同声明では不明瞭な文言しか出てきませんでした。

「地球温暖化を阻止するため、日米は協同する」といったものです。22日から開催される温暖化サミットに託されることになったわけです。

 

そしてその温暖化サミットでは、事前に予想されたように各国が2030年までの目標を引き上げることに成功し、メインのアメリカは2030年までに50%までの削減を表明した一方で、中国は石炭発電を減らすというだけで努力目標を示すに留まり、

数字が出そろう中で日本も50%という数字を意識したせいか、あまりにも不自然なアクションプログラムとなりました。

 

他国が2005年の排出量に比べてとしているのに、日本だけが2013年に比べてなのです。

2013年はどういう年であったかというと、原発事故によって稼働している原発がゼロになって、多くの電力発電を石炭火力に依存していた時期です。

つまりもっとも排出量の多い時期。それに比べてというのだから、事実上はあまり努力をしないと表明しているのと同じです。

 

3度目の緊急事態宣言

今回4月にまた緊急事態宣言が出ましたが、これで3度目です。そもそも緊急だと言っている割には、実施する開始日が先日付となっていたりして、喫緊性を感じさせません。

宣言慣れしてしまったと言えばそれまでなのだが、いったい何を目指して国民の生活を縛るのか見えにくくなっています。

 

ちまたにも混乱を及ぼしているようです。

飲食ではお酒が出せなくなると言うので、時短してでも営業するのかどうかも決めかねるお店が多かったようです。

これは宣言の発出を要請する前に、行政がガイドラインをハッキリと示さなかったからでしょう。

目的も手段も不明確だとなれば、「やったふり」をしたいためだけの宣言なのだろうなと想像がついてしまいます。

緊急事態宣言

 

上昇するクロス円

為替相場では市場のリスク性に敏感なものの代表として、クロス円があげられることが多いです。

実際に米国株をはじめとする欧州株も3月相場では一斉に史上最高値を更新してきている勢いです。

 

それに連動してユーロ円も高値を取ってきています。しばらくは130円の大台を目前に頭の重たい展開を強いられていたのですが、4月の後半では130円アッパーで高値安定していましたが、ついに132円台まで上伸してきました。

こういう状況において株価の値崩れなどを起こしていないかに注意してクロス円を取り扱うことが、今後はいっそう求められることになります。

ユーロ円の日足

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持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

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