第28回 為替マーケットコラム  悪かった雇用統計

第28回 為替マーケットコラム

悪かった雇用統計

5月発表のアメリカの雇用統計では事前の予想は大きめに出ていましたが、就業者数は20万人台の増加のみでした。

失業率は6.1%で、これも完全に予想を裏切るほどの悪い結果でした。

 

しかし当面は失業率の目立った回復はないものとも思われます。理由は失業給付の上乗せ部分が9月まで延長されたことにあります。

外食店舗などの活動が再開しても、そこで働くよりも多くの給付が受けられるのであれば、職場に戻るのは後送りになるのもやむをえないでしょう。

 

ベーシックインカムを導入すると労働意欲がなくなると主張する人の意見と同様のことが問題になる可能性が高いです。

アメリカの雇用統計

 

インフレ懸念

アメリカのCPIは、事前の予想を大きく上回まわりました。

4月からインフレ懸念が増大してきていたのですが、ドルの長期金利はようやく明確に上昇に向いました。

 

インフレ懸念の顕在化は重大です。問題はFRBの姿勢が依然として「物価高は一時的」だとしている点です。

あくまでも金融政策のターゲットを雇用の回復にだけ焦点を当てていますが、それが通じるのかどうかです。

 

9月のFOMCまでは金融政策のスタンスを変えないで放置しようと目論んでいたようですが、それが早晩、許されなくなってきています。

俗にいう市場の催促というやつです。次の6月のFOMCにおいてすら何か明確なメッセージが求められる状況となりつつあります。

アメリカのCPI

ビットコイン急落

ビッドコインが急落しました。テスラ社が車の購入代金として受け付けないと発表したことから始まりました。

テスラ社はビッドコインで購入可能としながらも、結局のところ、ビッドコインの世界で営むことはできなかったということです。

 

ビッドコイン建ての値段表記も、対ドルでこれだけ変動している状況の中では固定の値段で呈示し続けることは困難だったということであり、それはつまるところ根っこの部分はドルに依存していたと言うことに他なりません。

ビッドコインで稼いで、ビッドコインで消費するという生活環境にはまだまだ遠いのだということを示したのです。

ビットコインの日足

ワクチン接種

ワクチン接種のペースが日本でも速まりそうです。しかし依然として接種率は低いものです。

このままだと2ヶ月をきったオリンピックの開催までには間に合わなさそうです。

 

マーケットでワクチンバブルが起こったのは昨年11月の大統領選の開票中のことでした。それから日本政府は何をやって時間を過ごしていたのかという感じがします。

現状の感染者数のままでオリンピックを開催してしまうののであれば、国内の状況だけからすれば、これだったら去年やったほうがよかったのではないかとの疑念が残ってしまいます。

 

しかし日本国内ではオリンピック中止の議論は湧き上がって来ません。

それを口に出すと非国民だとみなされるような風潮ですらあります。したがって誰も猫の首に鈴をつけにいく人がいないのです。

 

IOCもWHOも日本政府も、誰かが言い出してくれたらなといった感じで時間を無駄にしているようにも見えます。

6月に都議選の告示があるが、それに向けて小池都知事あたりが「英断」としょうして返上を言い出すのでしょうか。

そうなると戦後の政治史に名を残すのは確実であり、虚栄心の高い人にとっては実に魅力的に映ることでしょう。

とくに人気に陰りのある状況ではレガシーを作りにいく可能性も除去できません。

 

クロス円の上昇

為替相場ではクロス円の上昇が目立っています。ドルストレートの中でドル相場の全面安が起こっているにかかわらず、ドル円だけが下がっていないからです。

ユーロドルやポンドドルは年初来の高値近くまで上がってきてしまっているのに、ドル円だけは108円台や109円台あたりでウロウロしているばかりでダイナミックに動きません。

 

そのためユーロ円は133円台の中盤まで上がってきており、ポンド円も154円台でも高いと思わなくなってきました。

確かに米国株が依然として史上最高値の近くでステイしているのですからリスクテークの流れのためだともいえます。

しかし当面はユーロ円もポンド円も今年の高値を目先のレジスタンスとしながらも、やはり上値追いの形が続くのでしょう。

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持田 有紀子

<略歴>
慶応義塾大学法学部政治学科卒。国際政治及び東アジアの地域研究を専攻。

同大新聞研究所(現メディア・コミュニケーション研究所)修了。

野村証券入社。エクイティ部門の日本株トレーダーやワラント債、オプション課、営業課など。その後は人事コンサルティングの分野でも活動し、行動科学や心理学に基づく人事評価のモデルの開発等に携わる。

21世紀に入って起業した後は、海外の先物市場や外国為替取引のノウハウの蓄積を活用した投資情報の提供、セミナー講師、海外ファンドの運用、トレード塾の運営などを手がける。


<著作物>

「外国為替取引(FX)はこうして稼ぐ」 明日香出版

「日経225/日経225ミニ 日経先物取引の戦い方」 明日香出版社

「FX 練習帳」 実業之日本社 「夜の外国市場で儲けるテクニック」 明日香出版社

「FX 最強投資術」 実業之日本社 「利確と損切りのタイミングを読む」明日香出版社

「学校では教えてくれない投資と金融の授業」 明日香出版社


<連載コラム>

ザイFX「戦う女のマーケット日記」(ダイヤモンド社)
http://zai.diamond.jp/list/fxcolumn/mochida


<持田有紀子公式ブログ>

http://ameblo.jp/mochidayukikodesu/


<自己紹介>

野村證券の初期女性総合職としての兜村が、私の仕事の出発点でした。

金融マーケットに関わる人々やものごとの酸いも甘いも嚙み分けて、大規模な組織に属しない一個人でも、どうやったら戦い続けることができるのかを追求してきました。

金融マーケットへのアクセスは誰にでもかなり容易になった昨今、価値ある有意義な情報を一人でも多くの人に届けたいと考えています。

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